読書日誌:フィデル・カストロ ―― カリブ海のアンチヒーロー
読了日:2009/03/30
書名:フィデル・カストロ ―― カリブ海のアンチヒーロー
著者:タッド・シュルツ
出版年:1998年
出版社:文藝春秋
コメント:
フィデル・カストロの評伝。原著は1986年刊。
著者はカストロと同じ1926年生まれの元記者で、1961年のヒロン浜(ピッグス湾)事件の直後にもカストロを取材している人物。本書の執筆にあたっても4度のロングインタビューを許されたらしい。
それにしても、カストロの人生はすごい。1953年のモンカダ兵営襲撃は大失敗し、多くの友人を殺された。カストロも捕らえられるが、運よく殺害されずに済み、裁判闘争を逆に革命宣伝の場に変える。メキシコに逃れ、部隊を整え直して1956年末、82人の戦力でグランマ号で祖国に再上陸するが、直後、バティスタ軍により壊滅的な打撃を受け、部隊は四散する。再結集を果たすことができたのはわずか16人に過ぎない。だが、山岳地帯で農民の協力を得、都市部の部隊とも連絡が再開し、戦果を上げ、勢力を拡大する。一方で、カストロの運動(7月26日運動)は都市派(リヤノ)と山岳派(シエラ)との間で、深刻な路線対立をおこす。だが、革命終盤、山岳ゲリラに呼応した都市部でのゼネストは大敗北し、それが逆にカストロの主導権を不動のものにする。そして1958年大晦日、バティスタ逃亡。
革命成就後も、緊張は絶えない。ヒロン浜(ピッグス湾)事件にキューバ・ミサイル危機である。さらに、米CIAは、長らくカストロ暗殺を機関の正式の計画としていた。
本書は、これらの出来事を分かりやすく叙述するとともに、一方で、カストロの人間的な、あるいは政治家としての欠点についても、著者の考えを述べている。やや古い本ではあるが、なかなか参考になる。



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