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読書日誌:十七歳の硫黄島

読了日:2009/10/15
書名:十七歳の硫黄島
著者:秋草鶴次
出版年:2006年
出版社:文春新書
コメント
17歳の志願兵(通信兵)として硫黄島に赴任し、生還した秋草氏による手記。
「まだ年端もいかない少年なのに」などと思ってはいけない。彼は専門教育を受けた、れっきとした技術者である。通信兵は、戦闘は行わないが、戦況を観察し、報告することが任務である。
だから、手記の前半は、実にきめ細かで冷静な、戦争の観察報告となっている。戦闘の最初の前線は、彼がいた島の中央部、玉名山から数百メートルの位置から島の南端までの約3kmほどの地点である。彼は両軍の動きを事細かに描きながら、例えば、神風特攻隊の1機が海にぶち当たり、水柱を上げるのを見て、「あの水柱は、ほんとうは人柱だ」などと思索している。
だが、やがて、島の日本軍は掃討されていき、部隊の通信機能も戦闘機能も失われ、壕の中を彷徨う彼の記録も、彼自身や壕内の他の兵士たちの凄絶な生存のための闘いの描写へと変わってゆく。そして、飲まず食わずの果て、壕内で意識混濁となるところで手記は終わる。
一言で言えば、戦場のリアリズム。だが、このように言うだけでは余りにも軽すぎる、まさしく凄絶な記録である。

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