読書日誌:ポスト戦後社会 ── シリーズ日本近現代史(9)
読了日:2009/12/27
書名:ポスト戦後社会
著者:吉見俊哉
出版年:2009年
出版社:岩波新書
コメント:
シリーズ日本近現代史(全10巻)の第9巻。
第1章のタイトルがいきなり「左翼の終り」と、挑発的である。「高度成長期の日本では、労働運動はますます脱政治的な経済主義に呑み込まれ、学生運動はますます自己幻想的な過激主義に陥っていったのである」(40頁)との決めつけも少々乱暴。だが、著者は「左翼の終わり」と言いつつ、一方で、近年の非正規雇用の拡大と、それを反映した新たな労働運動の発生を引き合いに出して、「企業別労働組合と労使協調の時代とは異なる全社会的な階級闘争の時代が再来するかもしれない」(192頁)などとも書いている。かなり強い言葉を無造作に使う、なんとも軽いノリ。
また、経済のグローバリゼーションや産業空洞化、外国人労働力流入等々の変化が「日本」という歴史的主体(←!)を分裂・崩壊させつつあるのだと(220頁)。「1980年代までは、「日本」が国民国家として統一的な歴史的主体である、少なくともそのような存在として機能していることは、立場の左右如何にかかわらず前提とされてきた」と。ま、たしかに、民族や国民国家の幻想性を語る論者はあまりいなかったかもしれないが、「日本」なるものが歴史的主体である(主体性がある?)などと誰が言うたんやろ……?
等々、色々ツッコミを入れたいところは多々ある。だが、ポスト戦後社会(1970年代後半~現代)の政治経済、産業と環境、家族と地域、社会意識等にまつわる諸事象を実に幅広く、網羅的に並べ、こうした社会の変容の過程を解説し、新書1冊の中にうまく納める手腕はなかなかのもの。読み終わって、「あぁ、俺らはこうゆう時代の中に生きてるんだ」と、感慨が湧いてくる1冊ではある。



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