読書日誌:「患者中心の医療」という言説
読了日:2011/03/21
書名:「患者中心の医療」という言説 ―― 患者の「知」の社会学
著者:松繁卓哉
出版年:2010年
出版社:立教大学出版会
コメント:
「患者中心の医療」というコンセプトについて考察した書。考察の座標軸として、著者は患者(=医学・医療の「素人」)主導か医療者(=専門家)主導か、また、科学本位か生活コンテクスト本位か、という尺度を用いる(→図)。で、医学教育におけるPBL(problem-based learning)や、英国における患者のセルフヘルプ・トレーニング・プログラムであるEPP(Expert Patients Programme)などをこの座標上に位置づけ、これら取り組みの着地点として、図中点線矢印(1)(2)が出会う地点における患者-医療者双方の「視座の往還」を提唱している。
なんかこう、読んでいると、結局のところ、おいらがかねてから主張している「両側から超える」に似てなくもないという印象。
とはいえ、PBLにしてもEPPにしても、著者が伝える動向はなかなか興味深く、楽しく読めた。とくにEPPは、日本では例えばCOMLが行っている患者塾の活動などと比較してみたりすると面白いかもしれない。また、EBM(evidence-baced medicine)ないしEBPC(evidence-baced patient choice)の科学性が「素人知」を排除する「エビデンス社会化のリスク」という著者の主張も、なんとなく雰囲気的には納得できる。本書ではあまり触れられなかったが、NBM(narrative-baced medicine)なんかも、「患者中心の医療」構想の位相の中に位置づけることができるのだろう。色々に示唆のある本である。




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