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医療事故調査と法的責任

前の記事からの続き)
「医療安全ことはじめ」(編:中島和江/児玉安司、医学書院)の中の第13章「医療事故調査と法的責任」(筆:ロバート B.レフラー)について、もう少し書く。

米国でIOMレポートが発表され、日本で横浜市立大と都立広尾病院の大きな医療事故があった1999年以降の医療安全をめぐる動きを日米比較の、とくに法的観点から概観・総括したこの論文はとても面白い。

おいらは病院で診療情報管理士として働いているが、自身の仕事に引きつけて考えたとき、とくに次の下りは注目に値する。

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米国と比較して、21世紀初めの日本における医療事故の法的規制において、なぜ刑事法が突出したのだろうか。岩田太氏と筆者は、民主的な社会では市民を傷つけるようなミス(略)について説明責任が生じるという一般的に承認された原則から、この刑事介入の重要な理由が説明されると論じたことがある。しかし、日本の医療における説明責任の仕組みは以下に述べるように弱かった。結果的には、日本の医療界は、説明責任の空白状態からこのような事態を招いていたともいえる。日本の刑事司法システムは、マスメディアにスポットライトを当てられつつ活動し、説明責任の空白を埋めていった。
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(引用ここまで)
おいらはかねてより、病院の中で働く診療情報管理士の任務とは、「病院のアカウンタビリティと透明性を高める」ことに結局のところ帰結する、と考えている。上の引用文は、逆にいうと、医療におけるアカウンタビリティが高まれば、すなわち、「説明責任の空白状態」を医療者の側から埋めることができれば、今後、大野病院事件のような悲劇が避けられる可能性が増すということになる。そのために診療情報管理士にできることは多々あるはずだ。

病院におけるアカウンタビリティと透明性。このことについて、今後とも引き続き考えていこうと思う。

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読書日誌:医療安全ことはじめ

読了日:2011/07/23
書名:医療安全ことはじめ
編者:中島和江、児玉安司
出版年:2010年
出版社:医学書院
コメント
1999年は医療安全元年と言われている。日本において横浜市立大附属病院の患者誤認事故、都立広尾病院の消毒薬誤投与事故が起き、医療安全がおおいに注目された。この年、米国ではIOMレポート(To Err is Human;邦訳「人は誰でも間違える」)が発表され、世界的な反響を呼んだ。そして、以来、各国同様日本でも、医療安全のためのさまざまな取り組みが行われている。本書は、この10年あまりのさまざまな取り組みについての中間報告ともいうべき15の論文から成っている。
この中で一番面白かったのは、日米の比較の視点から両国のこの10年あまりを概観・総括したロバート B.レフラー氏の論文(医療事故調査と法的責任)。日本の医療者が議論するとややもすれば感情的になりがちなこのテーマを、冷静に分析・批評する筆者の姿勢には共感できる。

次の記事へ続く

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