社会保障における社会保険の意義
(前の投稿からの続き)
五島正規編著「社会保障 ―― 21世紀の課題」は大半が対談、鼎談で構成されているが、五島以外の筆による論文が2本入っている。頁数にして51頁のものと9頁のもの。本書全体の頁数が496頁。長い方の論文が、堤修三「社会保障における社会保険の意義」である。堤は元厚労官僚。本書によると、医療保険問題をめぐって厚労省内外で国保派vs.健保組合派の論争がかつてあったらしい。五島は国保派で、本書中でも、後期高齢者医療制度をめぐる議論の中で、健保組合派の流れをくむ「突き抜け方式」の主張をはっきりと否定している。一方、堤は健保組合派で、「突き抜け方式」の提唱者。本書に収められた堤論文では、社会保険に関するこうした堤のフィロソフィが展開されていて興味深い。
一方、対立する論者の論文(本書中最長の論文である)を自著中に何のコメントもなしに収載するところに、五島の懐の深さ(鷹揚さともいえる)がうかがわれ、こちらもある意味、面白い。



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